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「里弄徘徊―上海路地裏歩き」


 

僕は生まれつき路地歩きが大好きで、いろんな町を旅しては裏通り、細い路地へと入りこんでいく習性がある。

いっそ路地写真家にでもなろうと思い、東京やソウル、釜山、香港、上海などの路地を見聞に出かけた始めたのがつい3年前。

 

古い建物、狭隘な空間としての路地は各所に存在するが、人間のなまなましい存在感を感じる路地は、マーケットや朝市を除いて、そう多くはない。つまりは都市化が路地のなまなましい生活臭を希薄にするということだろうか。

 

中国でも最近はマンション建設が盛んで古い町はどんどん取り壊されている。まあ、風呂もトイレもない狭い家に住むより、補償金もらって郊外の2DKの団地に移転した方が幸福、という考えももっともで、外国人がとやかく言うことでもない。

 

でも、路上で将棋を指してる親子や井戸端会議に忙しいお年寄り、西瓜を手に駈けまわる子供達を見てると、古い建築群が消えると同時にこうした生活形態も消滅すると思われ、何だか惜しい気もする。
 

上海は10年以上前に初めて訪れ、以降数年おきに何度か旅している。
 

上海県城跡(旧南市区)あたりの路地を歩くと、古い弄堂(集合住宅)が並んでいて、もう取り壊しもかなり進んでいるが、かろうじて懐かしい気分に浸ることができる。

 

やがて消え去る生活形態を記録しておこうと思い、古い2眼レフをぶら下げ上海の下町歩きに出かけた。
 

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